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自由選択科目

地域保健研修カリキュラム

1. 一般教育目標

地域保健・医療(保健所)では、地域保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、各種事業への関わり・体験を通して、地域保険・医療・福祉関係の法規・制度の実際の運用を経験する。

2. 目標達成のための具体的行動計画

地域保健・医療・福祉分野における関係機関・職種と協調することができ、住民とコミュニケーションができる等を目指し、以下のような保健所の業務に関し、オリエンテーション及び実践を体験する。

  1. 感染症対策
  2. 結核対策
  3. 医療監視
  4. 精神保健福祉
  5. 難病
  6. 母子保健
  7. 成人、老人保健
  8. その他

病理診断科研修カリキュラム

1. 研修目標

病理診断(細胞診を含む)は、将来どの診療科へすすむにしても必ず何らかの関わりをもつ分野である。
病理診断科での研修では、正確な病理診断を行い臨床の連携を通じ良質な医療を実施していくために、病理診断業務に必要な知識を修得し、組織診・細胞診・病理解剖を実施し臨床科やメディカルスタッフと協働する姿勢を学ぶこととする。

2. 到達すべき目標

具体的な到達目標は下記に示す通りである。研修は指導医とマンツーマンで行う。

(1) 病理組織検査業務

  • 臓器毎の適切な固定法を実施できる
  • 臓器の肉眼診断ができ、それを踏まえての適切な切り出しができる
  • HE (ヘマトキシリンエオジン)染色を理解しHE標本の評価ができる
  • 基本的な病理組織所見を把握し適切な診断に至ることができる
  • 適切な特殊染色を選択し結果を解釈できる
  • 適切な免疫染色を選択し結果を解釈できる
  • 的確でわかりやすい病理組織診断書を作成できる
  • 病理検査材料及び診断書の保管管理システムを述べることができる
  • 術中迅速病理組織診断の適応、標本作製過程、診断の限界を述べることができる
  • 病理におけるバイオハザードを述べることができる
  • ホルマリン取扱いなど、業務に関連する法規を述べることができる

(2) 細胞診検査業務

  • 細胞診検体の適切な採取、処理過程を理解し実施できる
  • Papanicoloau(パパニコロウ)染色、Giemsa(ギムザ)染色の原理を理解し染色標本の評価ができる
  • 基本的な細胞所見を把握し適切な診断(判定)に至ることができる
  • 細胞検査士とのディスカッションができる
  • 病理組織診と細胞診の長所短所を述べることができる

(3) 病理解剖

臨床研修医にはCPCレポート作成が義務付けられていることから、病理診断科での研修時に病理解剖が実施される場合には、その症例を用いてレポート作成を行う。

  • 病理解剖の法的制約・手続きを述べることができる
  • ご遺体に対して礼をもって接する
  • 臨床経過から診断上の問題点を的確に把握できる
  • 手順に沿い感染予防を踏まえた解剖を実施できる
  • 臓器の肉眼診断ができ、それを踏まえての適切な切り出しができる
  • 組織病理所見を適切にとらえ、解釈しその意味を説明できる
  • 病態生理を踏まえた剖検診断報告書を作成できる
  • 臨床病理検討会(CPC)にて症例のプレゼンテーションができる

(4) 臨床科との連携

  • 臨床医との適切な情報交換ができる
  • 必要に応じて専門医へのコンサルトができる
  • 臨床科とのカンファレンスにおいて症例プレゼンテーションができる
  • 病理診断と治療指針との関わり、コンパニオン診断の意義など、病理診断が臨床へ及ぼす影響を述べることができる
  • メディカルスタッフと協調して仕事ができる
  • 臨床科の求めに応じて患者家族へ直接病理診断結果を説明できる

(5) 診療・評価の実施

  • 診療に必要な情報収集(文献検索)ができる
  • 病理診断における精度管理の意義を述べることができる
  • 九州沖縄スライドコンファレンスや学会などで症例発表ができる

3. 研修の評価

初期臨床研修到達目標の自己評価表に、研修期間中の実績(病理診断件数、細胞診断件数、病理解剖件数、CPC・学会等のプレゼンテーション、など)を加味して評価する。

皮膚科研修カリキュラム

1. 一般教育目標

(1) 研修の目的

 科学的根拠に基づいた皮膚科に関する基本診療能力を修得し、全人的医療や適切なプライマリケアの診療能力(態度、技能、知識)を身につける。

(2) 研修の目標

  1. 医療人としての基本姿勢・態度を、皮膚科研修を通して身につける。
  2. 患者の病歴、理学的所見(主に皮疹)を的確にとり、その病態を判断し、検査計画を立てるとともに治療方針を決定する。    
  3. 内科的知識を習得し、基礎疾患のある患者の管理と治療に応用できるようになる。
  4. 診断、治療に必要な特殊検査を習熟する。
  5. 皮膚外科医として基本的な手技を理解し、自ら実施できるようにする。
  6. 術後管理や広範囲熱傷の急性期管理の基本が的確にできるようになる。
  7. 尊厳の心を持って終末期医療にも対応できるようになる。

2. 目標達成のための具体的な課題

(1) 経験できる診察法、検査、手技

  1. 基本的観察
    一般理学的所見のとり方、皮疹の見方(最も重要)
  2. 基本的臨床検査(自ら実施できるか、または検査の適応の判断・結果の解釈ができる)*下線部は特に重要
    一般尿検査、便検査、血液型判定、交差適合試験、血算、白血球分画、血液生化学的検査、血液免疫血清学的検査、動脈血液ガス分析、薬剤感受性検査、心電図検査、肺機能検査、内視鏡検査、超音波検査、単純X線検査、X線CT検査、MRI検査、核医学検査、真菌検査(KOH直接検鏡、真菌培養法)、細菌学的検査(グラム染色)、細胞診(ギムザ染色)、病理組織検査(HE標本の見方)
  3. 基本的手技
    気道確保、人工呼吸、圧迫止血法、包帯法、注射(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈路確保)、採血法(静脈血、動脈血)、導尿法、ドレーン・チューブ類の管理、胃管の挿入と管理、局所麻酔法、創部消毒とガーゼ交換、簡単な切開・排膿、皮膚縫合法、外傷処置、熱傷処置(軽症から重症)、気管内挿
  4. 基本的治療法
    療養指導、薬物療法(外用療法を含む)、輸液、輸血
  5. 診療記録
    診療録、手術記録、処方箋、指導書、診療計画書、診断書、死亡診断書、紹介状、返信、インフォームドコンセント

(2) 経験できる症状、病態、疾患

  1. 頻度の高い症状
    掻痒、紅斑、紫斑、白斑および脱色素斑、色素斑および色素沈着、膨疹、丘疹、結節、腫瘍、鱗屑、痂皮、水疱、膿胞、びらん、潰瘍など
  2. 緊急を要する疾患・病態
    皮膚外傷(挫創、切創など 虐待を含む)
    物理化学的皮膚障害(熱傷、化学熱傷、電撃症など)
    アナフィラキシー(薬剤、食物、昆虫など)
    中毒疹、薬疹、蕁麻疹(TEN,Stevens-Johnson症候群など)
    感染症(細菌性―壊死性筋膜炎、SSSS、toxic shock症候群など
    ウイルス性―水痘、帯状疱疹、カポジ水痘様発疹症、麻疹、風疹など
    リケッチア・オリエンチア―日本紅斑熱、ツツガムシ病)
    動物性皮膚疾患(マムシ、ハチなどによる咬傷、刺傷など)
  3. 経験できる疾患、病態
    湿疹、皮膚炎群(アトピー性皮膚炎ほか)
    蕁麻疹、痒疹、掻痒症
    紅斑群(多形滲出性紅斑、結節性紅斑、中毒疹、薬疹など)
    血管、リンパ管系疾患(血管炎群、リンパ管炎など)
    循環障害(下肢静脈瘤、閉塞性動脈硬化症、糖尿病性壊疽など)
    角化異常症(遺伝性、後天性など)
    炎症性角化症(乾癬、扁平苔癬など)
    皮膚腫瘍(各種良性、悪性腫瘍)
    肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫など)
    膠原病と類症(SLEほか、ベーチェット病、スウィート病など)
    水疱症(天疱瘡、類天疱瘡など)
    色素異常症(白斑など)
    母斑・母斑症(色素細胞性母斑、血管腫、扁平母斑、レックリングハウゼン氏病など)
    代謝異常症(沈着症、黄色腫、痛風結節など)
    物理・化学的皮膚障害(光線皮膚炎、熱傷、凍傷、じょく瘡)
    ウイルス感染症(風疹、麻疹、水痘、帯状疱疹、伝染性紅斑など)
    細菌感染症(蜂窩織炎、丹毒、膿瘍など)
    真菌感染症(白癬、カンジダ症、スポロトリコーシスなど)
    リケッチア・オリエンチア感染症
    性感染症(梅毒、毛じらみなど)
    寄生虫症・動物性疾患(ダニ刺症、疥癬、顎口虫症ほか)
    付属器疾患(ざ瘡、毛包炎、汗疹ほか)
    粘膜疾患(口内炎、アフタ、扁平苔癬など)
    軟部組織疾患(形成異常、皮膚萎縮症、結合織疾患など)

3. 本カリキュラムの特徴

  1. 皮膚科研修中、原則として上記のことを学ぶのですが、全ては経験できません。経験できない分は専門書や指導医から知識として学んでいただきます。
  2. 指導は皮膚科医が行います。
  3. 皮膚疾患の研修を基本として、入院患者の合併症を通して内科・外科はじめ他科疾患の診断治療についても経験していただきます。
  4. 検査・手術、カンファレンスの状況や受け持ち患者さんの状況によっては、勤務時間が不規則になることがあります。

放射線科研修カリキュラム

1. 一般教育目標

  1. 医師として診療上必要な基本的知識、技能、態度を修得する。
  2. 患者診察を、以下の諸点に留意して適切に実施できる能力を養う。
    1. 患者心理を理解した上で、患者に接するマナーを身につける。
    2. 適切な問診及び理学所見をとり得る。
    3. 基本的臨床検査法を実施、あるいは依頼し、その結果を適切に解析し得る。
    4. 放射線科領域の必要にして十分な検査を選び出し、言い得る能力を持つ。
    5. 疾患の内容、程度を把握し、患者、家族とコンタクトをとるとともに適切な内科的治療法を実施し得る。
    6. 救急患者及び外来診療の伴う偶発症に対する診断能力、処置能力を身につける。

2. 行動目標

内科系研修医2年次後半の3か月間または6か月間に放射線科ローテイトすることにより、次の諸検査及び治療法を指示し、自ら実施し、所見の判断能力を身につける。

(1) 検査

  1. 一般X線検査(胸腹部X線検査、骨X線検査、断層撮影など)
  2. 一般造影検査(尿路造影検査、胆道造影検査など)
  3. 消化管X線検査(上部消化管X線検査、大腸消化管X線検査など)
  4. 消化管内視鏡検査(上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡など)
  5. CT検査
  6. MRI検査
  7. RI検査
  8. 血管造影検査

 (2) 治療

  1. 放射線治療(悪性腫瘍に対する各治療法中で、放射線治療の果たす役割の適応と限界を知り、治療計画を立て、照射中及び照射後の患者の指導ができる。)
  2. IVR(血管塞栓術、血管拡張術など)

3. 研修スケジュール

(1) 週間スケジュール予定

  1. 消化管X線検査: 0~4件
  2. 消化管内視鏡検査: 10~12件
  3. CT検査: 120件
  4. MR検査: 40件
  5. RI検査: 1~5件
  6. 血管造影検査・IVR: 0~2件
  7. 放射線治療計画: 0~5件

4. 教育

  1. 諸検査及び治療の実施を原則としてマンツーマンで指導する。
  2. カンファレンスにおいて手術所見と対比して、術前の各種検査レポートを振り返って再検討する。
    <カンファレンススケジュール>
    外科カンファレンス 毎週月曜日 17:00~

5. 評価

研修指導医が、初期臨床研修(厚生労働省)到達目標の自己評価表を参考にして以下の項目について評価する。 

  1. 社会性、倫理性及び人間性
  2. 医学的知識
  3. 診療技術
  4. 総合評価

泌尿器科研修カリキュラム

1. 一般研修目標

(1) 研修の目的

泌尿器科領域の疾病におけるプライマリー・ケアの修得を目標とする。

(2) 研修の目標

  1. 主要な泌尿器科疾病を理解した上で、正確で適切な病歴が聴取できる。
  2. 血尿、排尿障害、尿失禁の検査手順が作成でき、鑑別診断ができる。
  3. 前立腺の診断で、正常・肥大症・癌の鑑別ができる。
  4. 尿路結石の診断手順を決定できる。
  5. 停留睾丸(非触知精巣についても)、尿道下裂の診断ができ、適切な治療計画を立てることができる。
  6. 腎後性腎不全の病態を理解し、適切な治療計画を立てることができる。

2. 目標達成のための具体的行動計画

(1) 経験できる診察法、検査、手技

  1. 基本的検査及び処置
    尿検査(試験紙法、沈渣、単染色)、精液検査、尿道カテーテル留置
  2. 基本的臨床検査
    導尿IVP、尿道造影、膀胱造影排尿時膀胱造影、チェーン膀胱造影、腎、副腎、精巣超音波検査、膀胱内圧測定、尿量測定検査
  3. 基本的手技
    経直腸超音波下前立腺針生検
  4. 治療法および手術法
    消毒法、局所麻酔法、仙骨麻酔法、輸液、輸血、一般薬物療法、癌化学療法、尿道拡張術、陰嚢内疾患手術、陰茎小手術、膀胱切開術、ESWL
  5. 医療記録、記載
    POMRに従った診療録の記載術前患者のサマリーを作成、プレゼンテーション
  6. インフォームドコンセント、がん告知

(2) 経験できる疾病・病態

尿路結石(腎、尿管、膀胱)、悪性腫瘍(腎、尿管、膀胱、前立腺、陰茎精巣)、先天異常(包茎、停留精巣、VUR、PUJ狭窄)、前立腺肥大症、神経因性膀胱、腎不全、尿路性器感染症

麻酔科研修カリキュラム

1. 一般目標

麻酔の基本的な知識と技能、及び救急蘇生に必要な知識と技能を修得する。

2. 教育目標

  1. 以下の点に留意して術前訪問を行う。
    1. 患者の問診や診察を行い、全身状態、問題点を判断して記録する。必要があれば、手術適応、術式、麻酔方法などについて主治医と相談する。
    2. 他の医療従事者に追加検査や麻酔前投薬などの必要な指示を出す。
    3. 患者及び家族に麻酔に関するインフォームドコンセントを実施し、納得したうえで同意書を得る。
  2. 手術室の管理運営体制を理解し、消毒と滅菌、清潔と不潔を理解する。手術室におけるチーム医療を身につける。
  3. 吸入麻酔薬、静脈麻酔薬、筋弛緩薬、麻薬、局所麻酔薬、循環系薬剤など周術期に使用する薬剤の薬理、使用方法、管理方法を修得する。
  4. 手術室の麻酔器、モニターを理解し、患者に応じて選択して使用する。
  5. 患者管理に必要な静脈路確保、輸液・輸血療法、気道確保、気管内挿管などの技能を修得する。
  6. 全身麻酔、区域麻酔、局所麻酔の基本を理解する。
  7. 術後回診を行い、術後鎮痛や周術期の合併症を理解し、予防・治療が行えるようにする。

3. 目標達成のための具体的行動計画

(1) 経験できる診察法、検査手技

  1. 基本的診察ができる
    1. 術前訪問で病歴を聴取し、麻酔に必要な情報を収集
    2. 麻酔的見地から全身の診察
    3. 術後訪問で麻酔の影響を評価
  2. 基本的検査法ができる
    1. 心電図、X線像、検査結果から、術前リスクを把握
    2. 心電図をモニターし、評価
    3. 血液ガス分析を行い、結果を理解
    4. 血糖、電解質を測定し、結果を理解
    5. パルスオキシメーターを使用し、結果を理解
    6. 呼気ガスモニターの測定を行い、結果を理解
    7. 筋弛緩モニターを使用し、変化を理解
  3. 基本的手技ができる
    1. 気道の確保、マスクによる用手人工呼吸
    2. 経口気管挿管、用手換気
    3. 経鼻気管挿管
    4. 二腔気管チューブ挿入、分離肺換気
    5. 人工呼吸器の使用法を理解、実施
    6. 静脈血及び動脈血採血
    7. 末梢静脈路を確保、輸液
    8. くも膜下穿刺、脊椎麻酔
    9. 硬膜外穿刺、硬膜外麻酔
    10. 膀胱カテーテルの挿入
    11. 胃管挿入
    12. 局所浸潤麻酔
    13. 全身麻酔のための機器準備
    14. 麻酔器の構造理解、点検、整備
    15. 動脈ライン挿入、圧測定
    16. 中心静脈カテーテル挿入、圧測定
    17. 肺動脈カテーテル挿入、心拍出量測定
    18. 腕神経叢ブロック、閉鎖神経ブロック
    19. 術後の疼痛管理
  4. 基本的治療法ができる
    1. 患者の全身状態、術式を考慮した麻酔計画
    2. 麻酔前投薬
    3. 麻酔薬、麻酔関連薬物の使用
    4. 輸液療法
    5. 輸血
  5. 救急処置法ができる
    1. バイタルサインを正しく把握
    2. 蘇生手技
    3. 除細動機の使用
  6. 患者・家族との良好な人間関係の確立ができる
    1. 患者の社会的状況を理解
    2. 患者・家族への麻酔法、麻酔の危険性を説明
  7. 予防医療ができる
    1. 手術室における清潔と不潔、消毒・滅菌法、感染防止対策
  8. チーム医療ができる
    1. 外科医と協調診療
    2. 指導医に状況を報告、診療を依頼
    3. 医師以外の医療従事者と協調
  9. 診療記録の記載ができる
    1. 処方箋、指示箋
    2. 術前指示、麻酔記録
    3. 麻薬の取り扱い、管理
  10. その他
    1. 常に医療過誤防止に留意し、ニアミスを報告できる
    2. 文献検索など、必要な情報を収集できる

4. カリキュラムの特徴

  1. 指導体制:麻酔専門医(2名:日本麻酔科学会認定)と共に、各科の麻酔を担当する。
  2. 週間スケジュール
    1. 月~金曜日 8:00~8:30 当日の症例検討会
    2. 月~金曜日 8:30~9:00 麻酔の準備
    3. 月~金曜日 9:00~17:15 麻酔業務、術前訪問
  3. 期間中に1回、麻酔関連の興味のあることについて、看護師を対象に20分程度講義を行う。(Power Point使用)
  4. 評価:研修終了後、目標の達成度を自己評価し、指導医の評価を受ける。また、指導に対する評価を行う。

耳鼻咽喉科研修カリキュラム

1. 研修目標

耳鼻咽喉科領域の疾患におけるプライマリケアの習得を目標とする。

2. 研修計画

1) 耳鼻咽喉科領域患者の一般診察

問診(音声・聴覚障害者とのコミュニケーションを含む)、額帯鏡を用いた前鼻鏡、舌圧子、耳鏡、間接喉頭鏡、後鼻鏡による診察、頸部の診察、ファイバースコープを用いて鼻腔・咽喉頭診察、耳内の顕微鏡下診察の習得。

2) 問診からの症状に応じた耳鼻咽喉科検査の指示あるいは実施及び結果の解釈

純音聴力検査、平衡機能検査、嚥下機能検査(VE・VF)、味覚検査、細菌学的検査、各種画像検査(単純X線検査、CT、MRI)、超音波検査、聴性誘発反応検査(ABR)

3) 耳鼻咽喉科領域の基本的な処置

耳処置、鼻処置、鼻出血止血処置、術後創傷処置、外来小手術、組織試験切除の習得

4) 基本的な疾患の外来治療、適切な投薬の習得

外耳炎、中耳炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎、扁桃炎、めまいに対する理学療法(Epley法・Lempert法)など

5) 耳鼻咽喉科領域の基本的な手術、入院患者管理の習得

口蓋扁桃摘出術、アデノトミー、鼓膜チュービング、鼻茸切除術、耳瘻孔摘出術、頸部リンパ節摘出術など

眼科研修カリキュラム

1. 研修目標

 眼科領域の疾患におけるプライマリ・ケアの修得を目標とする。

2. 経験目標

A. 経験すべき診察法、検査、手技

  1. 基本的な診察法
    1. 眼症状に関する、正確な問診ができ、記載できる。
    2. 全身の一般的な問診、観察ができ、眼症状との関連を解釈して記載できる。
    3. 眼球と付属組織の診察ができ、適切に記載できる。
  2. 基本的な眼科診断技術及び検査(自ら実施できるか、検査の適応とその結果の解釈ができる)[ 各科共通のものを除いて記載 ]
    1. 視力検査(矯正)
    2. 屈折検査
    3. 調節検査
    4. 視野検査
    5. 色覚検査
    6. 眼底検査、眼底撮影、蛍光眼底造影
    7. 細隙灯顕微鏡検査
    8. 神経眼科学的検査
    9. 眼位、眼球運動、両眼視機能検査
    10. 緑内障検査、眼圧測定
    11. 涙液分泌能検査、導涙検査
    12. 眼表面から検体採取
    13. 電気生理学的検査
    14. 画像診断
    15. 眼球突出度、拳瞼力測定
  3. 基本的手技 [ 各科共通のものを除いて記載 ]
    1. 眼帯装用
    2. 点眼、眼軟膏の点入
    3. 結膜下注射
    4. 眼球マッサージ
    5. 前房穿刺
    6. 角結膜異物除去
    7. 霞粒腫、麦粒腫の切開
    8. 眼瞼、結膜、強膜の縫合
    9. コンタクトレンズの装用と管理
  4. 基本的治療
    1. 療養指導
    2. 薬物治療
    3. 輸液
  5. 診療記録
    1. 診療録
    2. 処方箋(眼鏡、コンタクトレンズを含む)、指示箋
    3. 診断書
    4. 紹介状、返信

B.経験すべき症状、病態、疾患

  1. 頻度の高い症状
    1. 視力障害
    2. 視野狭窄
    3. 結膜の充血
  2. 緊急を要する症状、病態
    1. 急性感染症
    2. 外傷、熱傷
    3. 急性緑内障発作
    4. 動脈閉塞性疾患
  3. 経験が求められる疾患、病態
    1. 屈折異常
    2. 角結膜炎
    3. 白内障
    4. 緑内障
    5. 糖尿病、高血圧、動脈硬化による眼底変化

C.特定の医療現場の経験

  1. 救急医療
  2. 予防医療
    1. 失明予防
    2. 感染症対策
  3. 地域保健・医療
    1. 労働と視機能
    2. 労働眼障害と対策
    3. アイバンク活動
  4. 小児・育成医療
    1. 未熟児網膜症の診断と治療
    2. 母子保健
    3. 弱視、ロービジョン訓練・教育
    4. 学校保健
    5. 遺伝性眼疾患の診断・遺伝相談
  5. 緩和・終末期医療
    1. 失明告知、相談、院内訓練、指導
    2. 中途失明者のリハビリテーション
    3. 視覚リハビリテーション
    4. 視覚障害者に対する各種法令を含む社会的援護

脳神経外科研修カリキュラム

1. 教育目標

脳神経外科は対応に緊急を要する場合も多いので、病態に対する迅速かつ適切な診断・治療方針の決定などの要点を把握し実施する能力を身に付けることを目標とする。

(1) 一般教育目標

  1. 病棟での入院患者の管理、救急外来の対応ができる。
  2. 脳神経外科で扱う患者の中でも緊急性を要することが多い脳血管障害、外傷について多くの症例を経験し、病態の把握、治療法の選択、説明を要領よく出来るようになる。
  3. up to dateな知識を身に付ける。

(2) 行動目標

  1. 病歴聴取・診察の後に、病態の要点を定めることができる。
  2. 鑑別疾患を挙げ、必要な検査の計画を立てることができる。
  3. 術創評価など病棟での処置が行える。
  4. 気管内挿管、胃管挿入、中心静脈ルート確保、導尿などが適切に実施できる。
  5. 腰椎穿刺、髄液所見の判定ができる。
  6. CT、MRI、脳血管造影検査、脳血流検査などの読影・診断ができる。
  7. 各種診断書を含む書類の記載が適切に行える。
  8. 患者・家族、他科医師、メディカルスタッフとの適切なコミュニケーションがとれる。
  9. 診療録の記載が適切に行える。

2. 教育

  1. 脳神経外科週間スケジュール
    月曜日:脳血管造影
    火曜日:手術(午後)
    水曜日:脳血管造影
    木曜日:手術(終日)
    金曜日:リハビリ合同カンファレンス、総回診
    (木曜日を除き午前中は外来)
  2. 指導医とともに、毎日回診を行う
  3. 5~10人程度の症例を受け持つ
  4. 術前、術後の症例検討会で症例呈示する

3. 記録

担当した症例の一覧、病歴総括を作成する。

4. 評価

指導医、他科医師、病棟師長、看護師らの意見を統合し、以下の項目について脳神経外科研修指導者が評価する。また、必要に応じてレポート提出などを行っていただく。

  1. 卒後臨床研修到達目標の自己評価
  2. 社会性、倫理性、人間性
  3. 医学的知識
    神経学、外科学、脳神経外科学の基本的な知識を身に付けることができる。
  4. 技術
    診療、検査、治療を迅速かつ的確に行い、全身管理並びに基本的脳神経外科管理ができる。
  5. 総合力
    経験した症例などについてまとめることができ、学会発表などができる。

整形外科研修カリキュラム

1. 一般教育目標

 整形外科医として必要な基本知識、技能、態度を修得する。

2. 行動目標

(1) 整形外科医の基本的態度

 整形外科は、身体的な機能的障害を有する患者と接するので、患者の残存能力をいかに活用し、早く社会復帰させるかを念頭において行動する。

(2) 診察能力

  1. 主訴、現病歴、家族歴、既往症の要点の記録
  2. 頸椎、胸腰椎の診察
  3. 四肢関節の診察
  4. 手の外科の的確な診察
  5. 読影能力(X線、CT、MRI、脊椎造影)

(3) 研修する診察能力

  1. 創傷の局所処置
  2. 出血性ショック
  3. 交通事故等外傷の初期的治療
  4. 他科の合併症を有する患者の処置
  5. ギブス包帯

3. 目標達成のための具体的行動計画

(1) 基本的診療法

  1. 面接技法(診療情報の収集、患者・家族とのコミュニケーションを含む)
  2. 全身の観察(バイタルサイン、精神状態など)
  3. 骨・関節・筋肉系の診察ができる
  4. 神経学的診察ができる
  5. 小児の診察ができる

(2) 基本的検査法

  1. 一般検尿、血液像、心電図から全身状態の把握ができる
  2. 血液型判定、交差適合試験ができる
  3. 血液免疫血清検査の評価ができる
  4. 関節液の採取により関節液の評価ができる
  5. 単純X線を的確に指示し結果を評価できる
  6. 造影検査の手技を修得し結果を評価できる
  7. CT及びMRIにより部位的、質的診断ができる
  8. 特殊検査(筋電図、骨密度など)を理解し結果を評価できる

(3) 基本的治療法

  1. 療養指導(安静度、食事、体位など)が的確にできる
  2. 薬物治療(抗生剤、鎮痛剤など)が的確にできる
  3. 輸液の指示が的確にできる
  4. 輸血(自己血含む)の判断・指示が的確にできる
  5. 基礎疾患に応じた食事、運動療法などの指示が的確にできる

(4) 基本的手技

  1. 創部のガーゼ交換が清潔操作下にできる
  2. 術後のドレーンの管理が的確にできる
  3. 局所麻酔が適量で迅速にできる
  4. 創部の消毒が十分な範囲で迅速にできる
  5. 切開、排膿ができる
  6. 皮膚縫合が実施できる
  7. 包帯固定が的確にできる
  8. 頻度の高い脱臼(肩など)の整復法を理解し実施できる
  9. 軽度の外傷・熱傷の処置ができる
  10. 必要なギブス(シーネ)の範囲を理解し施行し、合併症を回避できる
  11. 直達、介達牽引が的確にできる
  12. 物理療法を理解し疾患に応じて指示ができる
  13. 術後疼痛及び全身管理ができる
  14. 術後早期からのリハビリを理解し実施できる

(5) 救急処置法

  1. バイタルサインの把握が的確にできる
  2. 重症度及び緊急度の把握が迅速にできる
  3. 指導医や専門医への連絡・移送が迅速にできる
  4. 外傷の初期治療(洗浄・デブリードマンなど)が的確にできる
  5. 開放骨折・血管損傷の手術の必要性が判断できる

(6) 人間関係

  1. 患者・家族とのコミュニケーションが良好にできる
  2. 入院による生活習慣変容への配慮ができる
  3. 安静の必要性など療養指導で患者の理解を得ることができる
  4. 患者・家族の個人情報の管理ができる

(7) 予防医療

  1. 基礎疾患に応じた食事療法を理解し指示できる
  2. 機能障害を少なくする運動療法を理解している
  3. スポーツ障害予防のための基礎知識を理解し指示できる
  4. 院内感染に関する知識があり予防の実施ができる

(8) チーム医療

  1. 指導医や専門医にコンサルテーションが的確にできる
  2. 他科、他施設への紹介・移送が的確にできる
  3. 医療・福祉・保健の幅広い職種との連携ができる
  4. 指導医及び同僚医師との協力が十分できる

(9) 医療記録

  1. 診療録が適切に作成・管理できる
  2. 処方箋・指示箋が的確に作成できる
  3. 診断書(死亡診断書)、証明書が的確に作成できる
  4. 紹介状及び紹介状の返事が適切に作成できる

(10) 診療計画

  1. 必要な情報の収集が迅速にできる
  2. プロブレムリストの作成が的確にできる
  3. 診療計画(診断、治療、説明)の作成が適切にできる
  4. 入退院の判断が的確にできる
  5. 症例呈示、要約が的確にできる