一般外来カリキュラム
1 一般教育目標
(1) 研修の目的
内科、外科、小児科などの必修とされる診療科の一般外来を通じて、基礎的診察能力およびコミュニケーションスキルを習得する。
(2) 研修の目標
- 症候・病態について適切な臨床推論プロセスを経て解決に導くことができる。
- 患者の人権に配慮した接し方、態度を身につける。
- 患者・家族のニーズと心理的背景を把握し、対応できる。
- 患者や家族に検査結果や治療方針について解りやすく説明できる。
2 カリキュラムの特徴
(1) 指導体制
必修とされる診療科の指導医と共に、一般外来を行う。
(2) 研修スケジュール
必修とされる診療科と平行して4週以上の研修を行う。原則として初診患者の診療および慢性疾患患者の継続診療を含む研修を行う。
地域医療研修カリキュラム
1. 一般教育目標
地域包括医療の理念を理解し、実践できる医師、すなわち地域医療、在宅医療、老人医療、 保健・医療・福祉・介護の分野も含めた全人的医療に関する臨床能力を身につける。
2. 目標達成のための具体的行動計画
- 包括医療がなぜ必要かについて述べることができる。
- 身体・心理・社会的側面から、患者、家族のニーズを把握することができる。
- 日常診療における患者の診療が適切にできる。
- チーム医療を意識し、他の医師やスタッフと個々の患者に関して意見交換並びに連携が適切にできる。
- 自宅で療養する人達の暮らしぶりを把握し、在宅ケアを支えるチームのコーディネーターあるいはリーダーとしての医師の役割を適切に実践できる。
- 介護保険制度の仕組みを把握し、ケアプランに則した各種サービスの実際を経験し かつ介護保険制度における医師の役割及び介護と医療の連携の重要性を理解し、実践できる。
- 地域ケア会議の開催等、地域包括医療活動に必要な知識・技能・態度を習得する。
- 中山間地や離島における診療活動にとって不可欠となる後方病院との連携の方法を理解し、実践できる。
精神科研修カリキュラム
1. 一般教育目標
(1) 研修の目的
日常診療に必要な精神医学の基本知識、病態、治療、態度を身につける。
(2) 研修の目標
- 患者の人権に配慮した接し方、態度を身につける。
- 患者を心理、社会、生物学的側面から理解する。
- 診断、検査、治療、社会復帰を含めた包括的な治療計画が立てられる。
- 患者・医師関係、家族・医師関係、医師・医療スタッフ関係に配慮した診療態度を身につける。
2. 目標達成のための具体的行動計画
(1) 経験できる診察法、検査、手技
- 問診: 面接の方法に配慮しながら、主訴、生活史、既往歴、現病歴、家族歴等を聴取し、情報をまとめ記載する。
- 状態像を把握する。
- 必要な検査(頭部CT、MRI、脳波等)について理解し、検査計画を立てる。
- 診断: 精神科診断(ICD-10)について理解する。
- 基本的な治療(薬物、精神療法)について理解する。
- 精神保健福祉法を理解し、適切な入院形態、手続きを学ぶ。
- 社会復帰活動、地域支援体制について理解する。
(2) 経験できる疾病・病態
統合失調症、うつ病、痴呆症、不安障害、身体表現性障害、ストレス関連障害、アルコール依存症、双極性障害等
産婦人科研修カリキュラム
1. 一般教育目標
(1) 研修の目的
科学的根拠に基づいた産婦人科に関する基本的診察能力を修得し、プライマリケアの診療能力も身につける。
(2) 研修の目標
- 妊娠、分娩、産褥の生理について述べることができる。
- 胎児の分化と発育について述べることができる。
- 新生児の生理について述べることができる。
- 良性疾患の病態について述べることができる。
- 悪性疾患の病態について述べることができる。
- 不妊、内分泌異常の病態について述べることができる。
2. 目標達成のための具体的行動計画
(1) 経験できる診察法、検査、手技
- 基本的診察ができる
視診、触診(双合診、内診)、レオポルド触診法、新生児診療(アプガー、シルバーマン・スコアを含む)、妊婦健診 - 基本的臨床検査ができる
超音波検査法(産科)、膣分泌物検査法、分娩監視装置による検査法、新生児の検査(血糖、ビリルビンなど)、超音波検査法(婦人科)、CT、MRI検査法、細胞診、コルポスコピー、組織診、生殖内分泌検査 - 基本的手技ができる
子宮内容除去術、子宮卵管造影法、正常分娩介助、附属器(腫瘍)摘出術の助手、腹式子宮全摘出術の助手、帝王切開術の助手 - 基本的治療法ができる
輸液、輸血、化学療法、新生児光線療法 - 診療録の記載ができる
診療録、処方箋、診断書、死亡診断書、診療情報報告書、コンサルテーションシート、ICD10コード
(2) 経験できる疾病・病態
- 産科 : ローリスク妊娠・分娩、妊娠中毒症、常位胎盤早期剥離、前置胎盤、双胎
- 婦人科 : 月経異常、無月経、不正性器出血、更年期障害、外陰炎、バルトリン腺炎、附属器炎、性感染症(カンジダ症、トリコモナス膣炎、クラミジア感染症、尖形コンジローマ)子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣腫瘍、子宮外妊娠
3. カリキュラムの特徴
(1) 指導体制
産婦人科病棟にNICU(新生児集中治療室)を併設し、周産期医療が幅広く研修できます。産婦人科医4名(産婦人科専門医3名)で日常業務を担当しています。4名の産婦人科医が協力して指導させて頂きます。
(2) 研修スケジュール
卒後臨床研修2年目に産婦人科を研修していただき、期間は1ケ月間です。なお、2年目研修時に、希望があればさらに1ケ月以上の研修が可能です。
(3) その他
宮崎県南地区の中核病院としての医療を担っており、産科、婦人科関連の症例が豊富で、未熟児から癌治療まで幅広い研修が可能です。年間分娩数は264例(令和5年度)です。
小児科研修カリキュラム
1. 目標
小児の特徴を理解し、小児医療に必要な基礎知識、基本的手技、コミュニケーションスキルを習得する。
2. 研修到達目標
(1) 基本的診察法
- 小児の成長と発達に関する評価ができる。
- 小児の特徴を理解し、一般理学所見がとれる。
- 小児の神経学的所見の評価ができる。
- 新生児の診察ができる。
- 思春期の身体・心理の特徴を理解し、評価ができる。
(2) 基本的検査法
- 一般検尿ができる。
- 小児の血算、血液像が理解できる。
- 小児の心電図を記録し、判読できる。
- 血液ガス分析を行い、結果を理解できる。
- 小児の血液生化学検査の正常値を理解し、結果を評価できる。
- 髄液検査を行い、結果を評価できる。
- 単純X線検査、X線CT検査、MRI検査を判読できる。
- 小児の脳波が判読できる。
(3) 基本的治療法
- 療養指導(安静,体位,食事,入浴など)ができる。
- 小児の投薬量を理解し、薬物治療ができる。
- 小児の輸液管理ができる。
- 輸血(成分輸血を含む)の適応を決定し、実施できる。
(4) 基本手技
- 気道の確保、マスクによる用手人工換気ができる。
- 経口気管内挿管を行い、用手換気ができる。
- 静脈および動脈血を採取できる。
- 末梢循環路を確保できる。
- 注射(皮内、皮下、筋肉、静脈)を行える。
- 胃管を挿入できる。
- 浣腸の適応を理解し、指示もしくは実施できる。
- ドレーン・チューブ類の管理ができる。
(5) 救急処置
- バイタルサインを正しく把握できる。
- 重症度および緊急度の判断ができる。
- 蘇生手技ができる。
- 指導医や専門医(専門施設)への申し送りと移送ができる。
(6) 患者・家族との良好な人間関係の確立
- コミュニケーションスキルの獲得
- 患児、家族のニーズと心理的背景を把握し、対応できる。
- インフォームドコンセントを理解し行える。
- プライバシーへの配慮ができる。
(7) チーム医療
- 指導医や専門医へ状況を報告し、診察を依頼できる。
- 他科へのコンサルテーションの必要性を判断し、実施できる。
- 医師以外の医療従事者とも協調して仕事ができる。
- 福祉、保健、養護教諭などの幅広い職種との連携を計ることができる。
(8) 医療記録
- 診療録を正確に記録できる。
- 処方箋、指示箋を書ける。
- 各種診断書やその他の証明書を記載できる。
- 紹介状と返書を記載できる。
(9) 医療における以下の社会的側面を理解し、適切な対応ができる。
- 保健医療法規・制度
- 医療保険、公費負担制度
(10) 以下の診療計画・評価を実施できる。
- 文献検索を含む必要な情報収集。
- プログラムリストの作成。
- 診療計画(診断、治療、家族への説明)の作成。
- 入退院の判断。
- 症例呈示と要約。
- 自己評価および第三者による評価をふまえた改善。
(11) 小児保健・育児・栄養
- 小児の栄養の基本を理解し、栄養指導ができる。
- 予防接種について理解し、指導できる。
(12) 小児の主な疾患についての病態生理、臨床症状、検査所見、治療法などについての理解
- 血液・腫瘍:白血病、固形腫瘍、貧血の鑑別、DIC、ITPなど
- 心疾患:チアノーゼ性心疾患の緊急対応、川崎病、発作性上室性頻拍、心不全の治療など
- 内分泌:低身長、下垂体・甲状腺・副腎疾患、糖尿病など
- 遺伝・先天代謝異常:先天代謝異常症、染色体異常症、奇形症候群など
- 消化器:急性腹症、虫垂炎、感染性腸炎など
- 神経:熱性けいれん、けいれん重積、てんかん、精神運動発達遅滞など
- 腎疾患:ネフローゼ症候群、急性腎炎、急性腎不全な
- アレルギー:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーなど
- 感染症:呼吸器・消化器・尿路・中枢神経感染症、抗生剤の選択など
外科研修カリキュラム
1. 一般教育目標
1) 研修の目的
科学的根拠に基づいた外科に関する基本的診療能力を修得し、プライマリケアの診療能力も身につける。
2) 研修の目標
- 外科系疾患患者の病歴、診察所見を的確に速やかにとることができる。
- 病態を速やかに判断し、検査および治療方針を決定することができる。
- 外科診療に必要な検査を習熟する。
- 外科的基本手技を理解し、自ら実施できる。
- 術後管理の基本が的確にできる。
- 患者と家族に検査結果や治療方針などを解りやすく説明できる。
- 末期医療にあたっては、個々の患者に対応した治療計画を実施できる。
2. 目標達成のための具体的行動計画
1) 経験出来る診察法、検査、手技
- 基本的診察ができる
胸部、腹部を中心に全身 - 基本的臨床検査(自ら実施、または検査の適応の判断、結果の解釈)ができる
血液型判定・交差適合試験、末梢血液検査、尿検査、細菌学的検査・薬剤感受性検査、血液ガス分析、心電図、肺機能検査、細胞診・病理学的検査、内視鏡検査、超音波検査、単純X線検査、造影X線検査、CT検査、核医学検査 - 基本的手技ができる
気道確保、人工呼吸、圧迫止血法、注射(皮内、皮下、筋肉内、静脈確保)、採血(静脈血、動脈血)、穿刺法(胸腔、腹腔)、導尿法、ドレーン・チューブ類の管理、胃管の挿入と管理、創部消毒とガーゼ交換、局所麻酔法、切開排膿、皮膚縫合、気管内挿管、除細動 - 基本的治療法ができる
療養指導、薬物療法、輸液、輸血 - 医療記録の記載ができる
診療録、処方箋、診断書、死亡診断書、診療情報報告書、カンファランスにおける症例呈示
2) 経験出来る疾患・病態
- 呼吸器系疾患
肺癌、自然気胸、縦隔腫瘍、胸部外傷(外傷性血気胸、肋骨骨折)、呼吸不全、肺炎 - 消化器系疾患
食道癌、食道静脈瘤、胃癌、胃・十二指腸潰瘍、腸閉塞、急性虫垂炎、大腸癌、痔核、痔瘻、胆石、胆嚢炎、胆管癌、膵炎、膵臓癌、肝炎、肝硬変、肝臓癌、腹膜炎、ヘルニア - 内分泌疾患
乳腺腫瘍、甲状腺腫瘍
3. カリキュラムの特徴
- 指導医とともに、入院時から退院時、可能なら外来通院まで患者の診療にあたることができる。
- 1年次には外科的手技は勿論、採血や点滴も行うことができる。
- 当院は救急患者も多いので、プライマリーケアーおよび重症者のICU管理も研修することができる。
- 放射線科医、病理医を交えた術前術後カンファランスや消化器カンファレンスにも参加し、症例呈示やディスカッションを行うことができる。
- 指導医以外からの指導も受けられ、幅広い知識を得ることができる。
救急医療研修カリキュラム
1. 獲得目標
救急患者の疾患の診断と治療を学び、必要に応じて初期治療と救急蘇生術を習得する。
2. 指導体制
救急外来担当医、高度治療室(HCU)室長、および麻酔科指導医のもと、救急医療研修に取り組む。
3. 教育目標
- 救急患者の病態が一次または二次治療を必要とするかを鑑別できるようにする。
- 疾患の鑑別にあたって、病歴、身体診察、画像診断、検査データなどを参考にし、総合的に診断する技術を学ぶ。
- 二次、三次救急患者の治療にあたっては、病棟もしくはHCUでの診療に携わり、治療計画を学ぶ。
4. 目標達成のための具体的行動計画
(1) 主訴または臨床症状から救急疾患の識別診断を学ぶ
- 全身症状
発熱、全身倦怠感、皮膚異常 - 神経・視聴覚系の症状
無表情無反応、頭痛、めまい、歩行障害、痙攣、四肢麻痺、鼻痛、鼻閉感、咽頭痛、聴覚障害、鼻出血、視覚障害、眼痛 - 胸部の症状
咳・痰、呼吸困難感、胸部不快感、前胸部痛、後背部痛、嚥下障害、嚥下感 - 腹部の症状
悪心、嘔吐、腹部膨満、下痢、便秘、心窩部痛、上腹部痛、下腹部痛、腰背部痛 - 尿路系の症状
排尿困難、頻尿、排尿痛 - 四肢の症状
四肢の運動障害、歩行障害 - 妊産婦
頻回陣痛、急性腹痛
(2) 救急疾患に必要な他覚的所見・理学検査を学ぶ
- 神経学的検査
意識レベル(JCS,GCS)、瞳孔の大きさ、不同の有無、対光反射、眼位、眼球運動、角膜反射、眼球頭位反射、眼振、発語(失語、構音 障害)、四肢の運動レベル、顔面麻痺(中枢性、末梢性)、聴力、感覚障害、指鼻試験、膝踵試験、項部硬直、頸部血管雑音 - 皮膚所見
紅斑、膨疹、水疱、発赤、局所の熱感、硬結、刺し口、黄疸 - 胸部聴診所見
呼気狭窄音、湿性ラ音、乾性ラ音、無肺胞音、心雑音 - 腹部触診所見
腸雑音(亢進、低下)、筋性防御、限局した腹痛 - 体幹・四肢所見
出血、四肢の運動可動域の制限
(3) 救急患者に必要な検査法を学び、結果を評価できるようになる
- 心電図検査
不整脈、ST変化 - 尿・血液検査
一般的尿検査、血算、線溶・凝固、血液生化学検査、動脈血検査 - 頭部・顔面エックス線画像(正面、側面、タウン)
骨折 - 胸部エックス線画像
肺炎、無気肺、気胸、胸水、骨折、間質陰影 - 腹部エックス線画像
小腸内ガス像、大腸内ガス像、腹腔内空気像 - 腹部エコー検査
腹水、各臓器内腫瘤、胆肝膵腎臓内結石 - 心エコー検査
4腔心の動き、弁の動き、心のう液の貯留、下大静脈径の変化、胸水 - 頭部CT検査
出血、梗塞、骨折 - 胸部CT検査
肺炎、無気肺、気胸、胸水、間質陰影 - 腹部CT検査
腹水、各臓器内腫瘤、胆肝膵腎臓内結石、腸管の拡張
(4) 救急疾患に必要な基本的手技を修得する
注射法、採血法(静脈、動脈)、気道確保、アンビューマスクによる人工呼吸、気管挿管、心マッサージ、除細動、導尿、胃管挿入、局所麻酔法、簡単な切開・排膿、簡単な皮膚縫合、軽度の外傷・熱傷処置
(5) 以下の急性疾患の病態を把握し、初期治療を学ぶ
- 頭部疾患
脳内出血(高血圧性・外傷を含む)、くも膜下出血、脳梗塞、髄膜炎 - 眼・耳鼻咽喉疾患
中耳炎、急性副鼻腔炎、扁桃腺炎、アデノイド、食道異物、角結膜炎、眼内異物 - 呼吸器疾患
急性上気道炎、気管支喘息、肺気腫、COPDの急性増悪、急性肺炎、自然気胸、気管内異物 - 循環器疾患
高血圧、急性心筋梗塞、冠動脈スパスムス、安静時狭心症、運動時狭心症、うっ血性心不全、高血圧性心不全、不整脈(af,PAT,VT)、心停止 - 腹部疾患
急性胃腸炎、急性胃潰瘍、急性胆肝膵疾患、急性虫垂炎、イレウス - 泌尿器疾患
尿路系結石、尿路感染症、前立腺肥大による尿閉 - 皮膚疾患
熱傷、皮膚感染症、動物性皮膚障害、薬疹・蕁麻疹・中毒疹 - 四肢疾患
骨折、脱臼、腱・靱帯損傷、捻挫 - 産科疾患
切迫早産、胎児仮死、子宮破裂 - その他
薬物中毒(アナフィラキシーを含む)、誤飲、事故による多発外傷
5. 研修スケジュール
週間スケジュール
- 月4回夜間副当直として、麻酔指導医のもと救急患者の治療にあたる。
- 麻酔科指導医のもと、救急医療に従事する。
6. 評価
研修終了後、目標への達成度を自己評価し、指導医の評価を受ける。
内科研修カリキュラム
1. 研修の目的
内科医として必要な基本的知識、技能、態度を修得する。将来、内科医になる場合にも、あるいは他の専門診療科の医師になる場合にも、有用な内科の基本的な診療能力を習得する。
2. 研修の目標および具体的行動計画
- 内科系疾患患者の病歴、診察所見を簡潔、的確にしかも速やかに取ることが出来る。
- 病歴および診察所見から、鑑別診断を重要なものから列挙でき、診断に必要な検査計画を立てることが出来る。
- 検査の意義をよく理解し、その適応、結果の解釈、結果に基づいた適切な対応が出来る。
- 治療計画が立てられ、予後について述べることが出来る。
- 治療の実際、特殊な検査を修得する。
- 不治の患者や終末期患者にあっては、各々最適な治療目標を設定し、実践できる。
- 食事療法、運動療法、生活指導、リハビリテーション療法等について理解し、実践できる。
- 患者さんやその家族等に検査や治療についてわかりやすく説明できる。
3. 研修の目標達成のための具体的行動計画
- 基本的には、厚生労働省(平成14年10月発表)の「新たな医師臨床研修制度の在り方について」に基づいて行う。
- 基本的な身体診察法を修得する。全身状態の把握、精神状態、皮膚、頭頚部、胸部、腹部、骨・関節・筋肉系、神経系の診察ができ、記載できる。
- 基本的な臨床検査を修得する。血液型、末梢血液検査、尿検査、細菌塗抹検査、心電図検査などの特に基本的な検査については自ら実施し、解釈できる。内視鏡検査、CT検査等の検査については、検査の意義を理解し、検査の適応が判断でき、結果の解釈ができる。
- 基本的な手技を修得する。気道確保、人工呼吸、胸骨圧迫、圧迫止血法、注射(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保など)、採血法(動静脈)、穿刺法(腰椎、胸腔、腹腔)、導尿法、ドレーン・チューブ類の管理、胃管の挿入と管理、局所麻酔法、除細動、気管内挿管が実施できる。
- 基本的な治療法を修得する。療養指導、抗菌薬、解熱薬、副腎皮質ステロイド薬、麻薬などの薬物療法、輸液療法、輸血療法を適切に実施できる。
- 医療について適切な記録ができる。診療録の作成、処方箋・指導箋の作成、診断書・死亡診断書・その他の証明書の作成・管理、臨床病理カンファレンスのレポート作成や症例呈示、紹介状や返書の作成・管理ができる。
- 経験できる症状・病態・疾患について。「新たな医師臨床研修制度の在り方について」に基づいて、内科系9分野の疾患、すなわち、神経疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、血液腫瘍疾患、内分泌代謝疾患、腎疾患、感染症、リウマチ性疾患などのうち頻度の高い疾患、緊急を要する病態・疾患を経験する。内科系の救急医療、予防医療、緩和・終末医療についても経験する。
4. 当科の指導体制および特徴
内科のスタッフが指導する。スタッフは、内科学会および各専門学会により認定された認定内科医、循環器専門医、呼吸器専門医、人工透析専門医、血液疾患専門医等の資格を有している。
心不全・虚血性心疾患を中心とした循環器疾患、慢性呼吸不全・肺腫瘍を中心とした呼吸器疾患、腎不全・人工透析の腎疾患、悪性リンパ腫等の血液疾患、糖尿病・甲状腺を含む内分泌代謝疾患、感染症、消化器疾患等の内科系9分野の疾患を幅広く経験できる。入院受け持ち患者は約10名であり、指導医とペアで診療に当たる。内科系救急の診療、集中治療室での管理、人工呼吸器を用いた呼吸管理も経験できる。内科の病棟は主に4階西にあり、内科全般の疾患を経験できる。
一般的な検査とともに、骨髄穿刺・生検、超音波検査、消化器内視鏡、気管支鏡・治療、心臓カテーテル検査・冠インターベンション、恒久的ペースメーカー植込み術、人工透析も常時実施しており、一部を除きこれらの研修も可能である。
週に1回の入退院カンファレンス、内科各専門医による指導を通じて、症例の詳しい把握と適切な診療ができる。さらに、各学会への参加も行っており、症例提示能力を修得できる。剖検例は病理専門医及び他診療科医師の出席のもとに、病理解剖所見会を実施している。
2年次に自由選択科目として、内科を選択した場合には、1年次に引き続き内科研修を実施し、指導医とともにさらに研鑽を積んでいくことになる。