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救急医療研修カリキュラム

1. 獲得目標

救急患者の疾患の診断と治療を学び、必要に応じて初期治療と救急蘇生術を習得する。

2. 指導体制

救急外来担当医、高度治療室(HCU)室長、および麻酔科指導医のもと、救急医療研修に取り組む。

3. 教育目標

  1. 救急患者の病態が一次または二次治療を必要とするかを鑑別できるようにする。
  2. 疾患の鑑別にあたって、病歴、身体診察、画像診断、検査データなどを参考にし、総合的に診断する技術を学ぶ。
  3. 二次、三次救急患者の治療にあたっては、病棟もしくはHCUでの診療に携わり、治療計画を学ぶ。

4. 目標達成のための具体的行動計画

(1) 主訴または臨床症状から救急疾患の識別診断を学ぶ

  1. 全身症状
    発熱、全身倦怠感、皮膚異常
  2. 神経・視聴覚系の症状
    無表情無反応、頭痛、めまい、歩行障害、痙攣、四肢麻痺、鼻痛、鼻閉感、咽頭痛、聴覚障害、鼻出血、視覚障害、眼痛
  3. 胸部の症状
    咳・痰、呼吸困難感、胸部不快感、前胸部痛、後背部痛、嚥下障害、嚥下感
  4. 腹部の症状
    悪心、嘔吐、腹部膨満、下痢、便秘、心窩部痛、上腹部痛、下腹部痛、腰背部痛
  5. 尿路系の症状
    排尿困難、頻尿、排尿痛
  6. 四肢の症状
    四肢の運動障害、歩行障害
  7. 妊産婦
    頻回陣痛、急性腹痛

(2) 救急疾患に必要な他覚的所見・理学検査を学ぶ

  1. 神経学的検査
    意識レベル(JCS,GCS)、瞳孔の大きさ、不同の有無、対光反射、眼位、眼球運動、角膜反射、眼球頭位反射、眼振、発語(失語、構音 障害)、四肢の運動レベル、顔面麻痺(中枢性、末梢性)、聴力、感覚障害、指鼻試験、膝踵試験、項部硬直、頸部血管雑音
  2. 皮膚所見
    紅斑、膨疹、水疱、発赤、局所の熱感、硬結、刺し口、黄疸
  3. 胸部聴診所見
    呼気狭窄音、湿性ラ音、乾性ラ音、無肺胞音、心雑音
  4. 腹部触診所見
    腸雑音(亢進、低下)、筋性防御、限局した腹痛
  5. 体幹・四肢所見
    出血、四肢の運動可動域の制限

(3) 救急患者に必要な検査法を学び、結果を評価できるようになる

  1. 心電図検査
    不整脈、ST変化
  2. 尿・血液検査
    一般的尿検査、血算、線溶・凝固、血液生化学検査、動脈血検査
  3. 頭部・顔面エックス線画像(正面、側面、タウン)
    骨折
  4. 胸部エックス線画像
    肺炎、無気肺、気胸、胸水、骨折、間質陰影
  5. 腹部エックス線画像
    小腸内ガス像、大腸内ガス像、腹腔内空気像
  6. 腹部エコー検査
    腹水、各臓器内腫瘤、胆肝膵腎臓内結石
  7. 心エコー検査
    4腔心の動き、弁の動き、心のう液の貯留、下大静脈径の変化、胸水
  8. 頭部CT検査
    出血、梗塞、骨折
  9. 胸部CT検査
    肺炎、無気肺、気胸、胸水、間質陰影
  10. 腹部CT検査
    腹水、各臓器内腫瘤、胆肝膵腎臓内結石、腸管の拡張

(4) 救急疾患に必要な基本的手技を修得する

 注射法、採血法(静脈、動脈)、気道確保、アンビューマスクによる人工呼吸、気管挿管、心マッサージ、除細動、導尿、胃管挿入、局所麻酔法、簡単な切開・排膿、簡単な皮膚縫合、軽度の外傷・熱傷処置

(5) 以下の急性疾患の病態を把握し、初期治療を学ぶ

  1. 頭部疾患
    脳内出血(高血圧性・外傷を含む)、くも膜下出血、脳梗塞、髄膜炎
  2. 眼・耳鼻咽喉疾患
    中耳炎、急性副鼻腔炎、扁桃腺炎、アデノイド、食道異物、角結膜炎、眼内異物
  3. 呼吸器疾患
    急性上気道炎、気管支喘息、肺気腫、COPDの急性増悪、急性肺炎、自然気胸、気管内異物
  4. 循環器疾患
    高血圧、急性心筋梗塞、冠動脈スパスムス、安静時狭心症、運動時狭心症、うっ血性心不全、高血圧性心不全、不整脈(af,PAT,VT)、心停止
  5. 腹部疾患
    急性胃腸炎、急性胃潰瘍、急性胆肝膵疾患、急性虫垂炎、イレウス
  6. 泌尿器疾患
    尿路系結石、尿路感染症、前立腺肥大による尿閉
  7. 皮膚疾患
    熱傷、皮膚感染症、動物性皮膚障害、薬疹・蕁麻疹・中毒疹
  8. 四肢疾患
    骨折、脱臼、腱・靱帯損傷、捻挫
  9. 産科疾患
    切迫早産、胎児仮死、子宮破裂
  10. その他
    薬物中毒(アナフィラキシーを含む)、誤飲、事故による多発外傷

5. 研修スケジュール

週間スケジュール

  1. 月4回夜間副当直として、麻酔指導医のもと救急患者の治療にあたる。
  2. 麻酔科指導医のもと、救急医療に従事する。

6. 評価

 研修終了後、目標への達成度を自己評価し、指導医の評価を受ける。

臨床研修を行う診療科ごとの研修カリキュラム概要

必修科目

自由選択科目

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資料請求等

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